あれから一年
昨年の7月8日、雨が降りしきる未明に起きた不慮の事故。
あれから一年が経ちます。
今は9割近く回復していますが、腫れや痺れは若干残っています。
たまに古傷が痛むこともあります。
バーテンダーにとって聞き手の指先が自由に動かないのは致命的です。
しかし、人間は自然とすばらしい回復力を持っています。
神経は一日一ミリ回復すればいいとされていますが、その回復力は未知の世界です。
ケガによって包丁やアイスピック、さらにシェーカーの持ち方まで変えざるを得ませんでした。
しかし、今までのスタイルを変えたことにより、特に意味のないこだわりなどにも気づくことができました。
変則的な振り方でも、美味しければ何でもいいと思います。
それが今の自分のスタイルです。
何年かしたら、そのスタイルもまた変わるかもしれません。
時代と共に変化していってもいいと思います。
なので、今となっては、逆にケガをして良かったと思うようにもしています。
このような心境から得たことは、
あまり考えないこと。明るくあきらめること。自然な流れに任せること。
目標を持つことは重要ですが、あくまでも目標を持ったときの自分が現状の最善であり、
目標を達成したときには、その達成した自分が最善です。
よって、現状を自分なりに最善と思うようにしています。等身大ってことですね。
あえて、昨年ケガをしたグラスと同形状のものを買いました。
ちなみにケガをしたグラスはロンドンテイラーという、いわゆるスワロフスキーの“ニセモノ”のグラスです。
“バッタもん”だけにボウルの部分とステムの部分が外れてしまい、
自分で修理しようとして、接着の際、無理やり押し込んでしまいケガをしてしまいました。
なので、今年は、自分への戒めのためにも本物のスワロフスキーのカクテルグラスを買いました。
厳重に梱包されたグラスはまさに“本物”の証。自分自身も偽りのない世界で生きていきたいと思います。
昨年得た“感謝の気持ち”を忘れることなく…